コラム

本講座② 「登記をしても意味がない!?」【法律・契約編】

登記簿謄本 土地 建物
みなさんこんにちは。
本講座②は、「登記をしても意味がない!?」です。
いつもながら、タイトルは極論です!(笑)
かみ砕いてお話しますので、しっかりとお聞き下さい♪

◆登記とはいったい何でしょう?

みなさん、「登記」とは何か、ご存知でしょうか?
え!?知らない!?いいですよ~。これから分かりやすく説明します。
「登記」には、大きく分けて2つ種類があります。
1.不動産登記
2.商業登記
です。商業登記は、会社の登記とお考えください。
それぞれを、まず簡単にご説明します。
まずは、2の会社の登記から。
これは、個人の戸籍簿と同じです。
誕生日(設立日)はイツイツ。
本名(正式会社名)はナニナニ。
住所(本社所在地)はドコソコ。
てな具合です。
役員の情報は記載されますが、株主の情報は記載されません。
ココ、よく誤解されるところですので、ご注意を。
だれでも、700円の手数料を支払うことで、会社の登記簿を手に入れられます。
すごいでしょ?
みなさんも、まずは取引する会社の登記簿を見て、どんな経歴の会社なのか、
調べてみることも必要です。一生の一度の買い物なのですからね♪

◆2つに分かれる登記

次に、1の不動産登記。
内訳は大きく2つに分かれまして、土地の登記簿と建物の登記簿。
つまり、不動産登記の世界では、土地と建物を別々の不動産と考えるため、
たとえば、中古建物の登記簿は、土地部分と建物部分は別もの、という扱いです。
手数料も二倍ですね!(涙)
書かれている内容は、会社の登記簿と同じような感覚です。
不動産の場所(所在地)はドコソコ。
広さは何㎡。
建物の場合は、構造・階数・用途など。
もちろん所有者情報も載っています。
さらに凄いのは!
担保の設定状況が乗っているのです。
この内容をしっかり読んでいくと、
「この所有者は、平成10年に、ABC銀行で、3000万円のお金を借りて、
 家を建てたのだな!」
という、凄まじい個人情報までが分かってしまうのです!
個人情報保護の時代に、なんだかおかしいですよね?

◆え!?登記で所有者を証明できない!?

ま、その問題はさておき。
何のために登記するのか、といいますと、
「この土地(建物)、俺のもんだ!」
という事を世間にアピールすること、だと思ってしまいますよね!?
これが大きな誤解です。
なぜなぜなぜ?なぜそれが誤解なの!?
と、お考えのあなた。センスいいですよ!講座についてこれている証拠です♪
先に結論すると、
「登記は正しい所有者を保証するものではない」
ということです。ガーン!!
登記官というお役人様は、書類の申請のみで、登記簿を作っているのです。
売主とも買主とも会ったことがありません。
現場を見に行くことも、基本的にはありません。
書類だけで登記簿を作っていくわけです。
だから、「この取引は登記官が認める、正しい取引だ!所有者として認定する!!!」
な~んていう、保証はできっこないわけです。
これを難しい言葉で言うと、
「登記に公信力なし」
と言い表します。
例を挙げましょう。
このコラムを読んでいるアナタが、土地を買うとします。
その代金を誰に払うのか?
もちろん、売主です。仲介業者に対して支払うのではありませんよ。ここ赤ペン♪
じゃあ、売主は誰なのか?

◆登記簿をめぐるこんなトラブル

登記簿を見ます。悪田太郎さん、とあります。(Good ネーミング!)
悪田太郎さんに、2000万円を支払って、所有権の登記を移します。
しかし、悪田太郎は、本当の所有者ではなく、その前の登記名義人である、
善田善雄さんから印鑑証明や権利書を盗んで、登記して自分の名義に変えていたとします。
あなたはもちろんそんなこと知らない。
気がついた善田善雄さんは、あなたに
「これは私の土地です!出て行ってください!」
と、言われた場合、どうなるか?
あなたはすでに自分の名前で登記をしているのですよ!!!
判決!!
「敗訴!あなたの負け!」
善田善雄さんの権利が守られるわけです。
負けたあなたは土地は失う。3000万円は失う。すべてパーです。
悪田太郎は、セスナ機に乗って、遠い島へひとっ飛び~♪
怖いでしょう!!!
これが、
「登記に公信力なし」
という意味です。信じた者が馬鹿を見るのです。
「それなら、登記なんて意味ねぇじゃねぇか!?」
となりますよね。
そうです。意味なんかありません。
「当事者との関係においては。」
つまり、当事者との関係においては、
「売ります。買います。払います。」
が成立した瞬間に、所有権が移ります。
登記は関係ないわけです。
だから、あなたは、相手が本当の所有者なのかどうかをしっかり確認する必要があります。
登記簿には、過去から現在までの履歴が載っています。

◆登記簿を見て土地の過去を読み解く

ここで注意したいのが、
「不自然な所有権移転はないか?」
という点です。
登記簿は、その不動産のストーリーを物語っています。
しっかり読めば、その物語が理解できます。
たとえば、
一番最初の所有者Aさんが死んで、相続人のBさんが継いだ。
Bさんは別に家をもっているから、これを不動産会社Cに売ったようだ。
不動産会社Cは購入に当たって、○○銀行の融資を受けて、担保設定をした。
その後、現在の所有者Dに売却して、担保設定を外した・・・。などなど。
不自然な点があったら、仲介業者に確認し、納得できるまで理解しましょう。

◆登記のこんな効力

不動産登記に公信力はありませんが、代わりに強力な切り札があります。
「対抗力」というやつです。
所有者Aが、BとCそれぞれと二重契約し、お金を二重で受け取った場合、
BとC、どちらが勝つかという問題です。
ここでは、登記を先に済ませた方が勝ちます。
つまり、登記「対抗力」となります。
みなさんが、
「この人は真の所有者だけど、私をだまして他の人にも同時契約するかも・・・」
と考えるリスクは、「登記の対抗力」で防ぐことが出来るわけです。
そういう意味では、登記に明確な意義がありますね!
よかった~。
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