みなさんこんにちは。
本講座⑤は、「いざ契約!」です。いよいよ最終回です。
契約書の仕組みをしっかりとご説明します。
◆契約ってどんなもの?
民法の大原則は、
「口約束でも契約は契約。」
つまり、口約束で、
「売ります。買います。いくらにしましょう。」
というだけで、契約が成立するのです。
でも、こんな怖い話はありませんね。
後々、「言った、言わない、聞いてない」
のトラブルが発生しないように、契約書をきちんと作りましょう、
というのが、慣習です。
最終回は、契約書の内容というよりも、外形的な仕組みのご説明をします。
しっかりお聞きくださいね!
◆署名と捺印と記名と私
まずは、
署名・捺印
という問題です。
署名はよいでしょう。
「自筆でサインする」ということです。
場合によっては、仲介業者や建築業者が、あらかじめ皆さんの名前を、
印刷している場合があります。これを、
「記名」とよび、署名とは区別します。
ゴム判を使う場合も、「記名」と呼び、署名と区別します。
契約としては、基本的にはどれも有効です。
ただ、契約書の最後あたりに、
「この契約が正しく成立したことを確認するため、売主・買主が署名捺印する」
とある場合に、「記名」してしまうと、契約書の有効性が疑われる場合があります。
それは例外として。
署名は、自分でサインをします。
これは、
「確かに自分の意思でサインをした。」
ということを示すために効果があります。
ただし、後から、
「果たして、これは本人の直筆サインか!?」
との疑いが出たときに、筆跡鑑定などをする必要があり、めんどくさくなります。
そのために、
捺印
によって、それを補うわけです。
◆捺印には認印?実印?
例えば当社に「木村」という社員がいます。
「木村」という印鑑を持っているなら、木村君に間違いない、
という想像が生まれるわけです。
でも、皆さん少し考えてください。
「木村」という苗字、それほど珍しくはありません。
さらに、判子屋さんに行って、
「木村の印鑑作ってください!」
とさえ言えば、身分証明などなしに作ってくれます。
だれでも印鑑を持てるわけですね。
このだれでも持てる印鑑のことを、
「認印」と言います。
ミトメイン
と読みます。
ちなみに、「シャチハタ印」と呼ばれる、浸透印は、
契約社会では通用しません。あくまでも会社内の書類へのサインの代わり、
と言ったレベルです。
契約日に、シャチハタを持っていかないように、ご注意を!
さて、印鑑の話。
サインだけでも本人かどうか分からない。
認印は誰でも持てる。
そこで登場するのが、
実印
です。
実印は、本人がお役所で登録をして、その印影の証明書の発行が可能となるため、
「本人に間違いない」
という推定は働くわけです。
印鑑のご説明はここまで。
ちなみに、当社での建築契約では実印での捺印はお願いしておりません。
◆収入印紙について
次に収入印紙。
例えば、建築の請負契約書には、次の収入印紙を貼る必要があります。
建築請負金額 収入印紙
500~1000万以下 ⇒10,000円 / 軽減後の税率5,000円
1000~5000万以下 ⇒20,000円 / 軽減後の税率10,000円
5000~1億以下 ⇒60,000円 / 軽減後の税率30,000円
この収入印紙を貼っていない場合、契約書は無効なのか!?
というとそんなことはありません。
契約書自体は有効です。
でも、貼っていないことが税務署のこわ~いお役人に見つかると、
・ まずは正しく貼りなさい!
・ 加えて、その2倍の額をペナルティーとして払いなさい!
となります。怖いでしょ!?
収入印紙は正しく貼りましょうね!?
◆割り印も契印のうち
最後に、契印。
けいいん。
と読みます。
契約書が2枚以上にまたがる場合、(通常はそうなります)
「このページには同意して、署名捺印したけど、次のページは知らんぜよ!」
なんて、後々言わないように、
「署名捺印した効力が、他のすべてのページに及ぶようにするため」
契印をするわけです。
例えば、ページとページの間に押す(割り印とも言います)。
でも全ページに押すのは結構めんどくさい。
そこで背表紙をピシッっとつけて、その背表紙だけに押したります。
そういうことで契約書への署名捺印の効力を、全体に及ぼすわけです。
いかがでしょう、契約。
これだけ知っていれば、もうあなたは素人ではありません。
仲介業者や建築業者の前でも、堂々と法律の専門家です!
自身を持って、
「手付けの件だけど・・・」
「保証の件だけだど・・・」
「登記は・・・」
「地役権は・・・」
「抵当権は・・・」
「契印は・・・」
とやっちゃって下さい!
うっとぉしがられる事、請け合いです!(爆)
では、皆さんのご契約が、円滑に進むことを祈って、本講座を終了します♪